Super Audio CD

スーパーオーディオCD（SACD）

スーパーオーディオCD（Super Audio CD、略称：SACD）は、1999年に開発された高音質のオーディオ用光ディスク規格です。ソニーとフィリップスによって規格化されたこの技術は、家庭用の音楽再生において新たなスタンダードを確立しました。

SACDの特長

SACDは、従来のCD（Compact Disc Digital Audio）に代わる形で、より高い音質と著作権保護を実現しています。特に、音源のデジタル化において、CDが採用するパルス符号変調（PCM）方式に対して、SACDはDirect Stream Digital（DSD）方式を使用しています。これにより、高忠実度の音声再生が可能となり、リスナーにとって優れた音質体験を提供します。

仕様とデザイン

SACDの物理的なデザインは、直径120mm、厚さ1.2mmの円盤状で、2層の記録領域を持ちます。1層は通常のCD-DAフォーマットとして利用でき、もう1層はSACD専用のデジタル信号が記録されます。これにより、ユーザーはCDプレーヤーで再生できるハイブリッドディスクとSACDプレーヤー専用のディスクを選択できます。各層の容量は、シングルレイヤーが約4.7 GB、デュアルレイヤーは約8.5 GBです。

音質とフォーマット

SACDに記録された音源は、DSDを使用して高いサンプリングレート（2.8224 MHz）で提供され、音質の忠実性が保証されます。また、ステレオと最高5.1チャンネルまでのサラウンド音声再生に対応しており、最大255トラックの収録が可能です。これにより、幅広い音楽や音声コンテンツを一枚のディスクに収録することができます。

著作権保護と自主制作

SACDは、著作権保護を強化するためのいくつかの技術的措置が講じられています。コピーガード技術には、電子透かしやSACD Markなどがあり、不正なコピーを防止します。また、法律によりスーパーオーディオCDは基本的にPCでの使用が制限されていますが、自分たちで録音したDSD形式のディスクを制作することは可能です。ティアックからは、DSD録音ができるDVDレコーダーが提供され、自主制作を支援しています。

市場の普及と競合規格

SACDは1999年に初めて市場に登場し、次第に音楽ファンの間に普及しましたが、全体的にはCDが牛耳る市場であるため、あまり急速な普及を見ませんでした。特に、DVD-Audioといった競合規格も存在し、これらもハイエンドオーディオ市場で位置づけられています。SACDが5092タイトル以上のソフトをリリースしている一方で、一般消費者に対してはその音質に対するニーズが限られており、ハイエンドユーザー向けの規格と見なされることが多いです。

結論

スーパーオーディオCD（SACD）は、音質の向上や新しい録音形式など多くの特長を持っていますが、その普及に関してはレーベルのリリース数や市場の需要が影響を及ぼしています。現代のデジタルメディアの普及に対抗するためには、SACD自身のメリットをしっかりとアピールしていく必要があります。

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